抄録
2020 年に開始した環境研究総合推進費 S18 プロジェクトは,2025 年 3 月に終了した。本プロジェクトは,わが国の気候変動適応を支援する総合的な科学的情報の創出を目的としたもので,テーマ 2 では農林水産業を対象に影響予測と適応策の評価を行った。本稿ではその中から農作物に関する研究の一部を紹介する。5 年間で,水稲・大豆の高温障害予測モデルの開発や,高温耐性品種を活用した適応技術の効果の定量評価,さらに温帯性・亜熱帯性果樹の適地変化の予測など,従来にない影響評価と適応に関する知見が得られた。これにより,地域や温暖化レベルによって異なる気候変動の影響や適応技術の効果が定量化され,地域に応じた適応策の実践への貢献が期待される。