近年,途上国における栄養問題とその解決に向けた取り組みへの関心は以前よりも増し,管理栄養士養成課程で学ぶ学生等で国際協力に携わりたいと考える者など国際栄養の学び手のニーズは高まっている。しかし,ガイドラインで定められている内容と講義等で使用される市販のテキストの内容,そして学び手のニーズとの間で必ずしも合致していない可能性が示唆されている。本研究では,管理栄養士養成課程で用いられている栄養教育論及び公衆栄養学の市販のテキスト21冊を整理し,国際栄養に関する市販のテキストの現状を把握することを目的とした。いずれの科目においても,ガイドラインを満たしていない市販のテキストが確認された。また,「諸外国の食事ガイド」及び「諸外国の食生活指針」などの資料の紹介にとどまっている市販のテキストが多くみられ,途上国の事例は少なかった。しかし,国際協力に携わりたいと考える者が勤務する場所は,多くの場合,開発途上国であることが多いことから,それらの国の健康・栄養問題を理解することが必要である。今後は,栄養問題を示すと同時にその問題を解決するための各国の方策や事業,またその視点について情報を提供していくことが求められているのではないかと考えられる。
(オンラインのみ掲載)