栄養学雑誌
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総説
日本食品標準成分表の策定及び活用に関する研究
渡邊 智子
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2011 年 69 巻 5 号 p. 214-228

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抄録

【目的】食品成分表の策定及び活用のための研究を行った。策定に関する研究は,1.穀類((1)飯,かゆ,おもゆの栄養価,(2)無洗米の栄養価及び精白米との相違,(3)炊飯器による飯の成分残存率及び嗜好の相違,(4)飯の水分量),2.廃棄部位と廃棄率,3.調理器具の相違が焼き魚の成分損失に与える影響),4.肉類((1)市販肉類の皮下脂肪及び筋肉間脂肪割合,(2)肉類のモデル試料による成分残存率),5.四訂成分表及びフォローアップ成分表のデータの活用((1)調理による成分残存率,(2)成分値の推定),6.漬物の塩分量,7.栄養士・管理栄養士の成分表作成への要望である。
活用に関する研究は,1.液状食品の 100 ml 成分表,2.調理による成分変化を考慮した栄養価計算のための成分表の作成,3.調理による成分残存率,4.区分別の調理した食品の成分残存率及び調理食品が未収載の食品の成分値,5.未収載成分の推定((1)脂肪酸とトランス型脂肪酸,(2)糖質),6.食事指導及び栄養教育((1)魚類,肉類,果実類及び野菜類のエネルギー及び重量別評価,(2)しょ糖,(3)アルコール飲料,(4)外食料理,(5)硝酸イオン,(6)ヨウ素)である。
策定に関する研究結果は,成分表の基礎データとして活用され,活用に関する研究結果は,実摂取栄養量に近似した栄養評価および栄養教育に活用されている。精度の高い栄養管理には,成分表を読み,適切に活用することが望まれる。

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© 2011 特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
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