2012 年 70 巻 2 号 p. 83-98
【目的】トランスセオレティカルモデル(TTM)を応用し,職場の男性を対象に栄養教育と食環境介入を6か月間実施し,体重コントロールに及ぼす効果を検証する。
【方法】無作為化比較試験。新潟市内の5つの事業所で,肥満および肥満予備群の男性対象者を募集した。解析対象者は65例(介入群32例:平均年齢45.6歳,対照群33例:46.0歳)であった。介入は,TTMを応用した栄養教育と給食でのヘルシーメニュー,栄養情報の提供を6か月間行った。一次アウトカムは体重とBody Mass Index (BMI) とした。二次アウトカムは栄養素等摂取量と減量,食生活,運動,セルフモニタリングの行動変容ステージとし,影響評価として食行動,食知識,体重コントロールへの態度,社員食堂へのアクセスを質問紙法で調査した。
【結果】体重とBMIは,対照群の増加量が介入群より有意に多かった。栄養素等および食品群別摂取量のうち,穀類の減少量が介入群で有意に多かった。行動変容ステージのうち「健康のために食生活を変える」と,影響評価のうち「社員食堂での情報へのアクセス」は,介入群の得点の増加量が対照群より有意に多かった。
【結論】TTMを応用した栄養教育と食環境介入を6か月間実施することで,対象者の社員食堂での情報へのアクセスが高まり,「健康のために食生活を変える」行動変容のステージが前進し体重をコントロールさせる可能性が示唆された。