栄養学雑誌
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妊娠期から子育て期における母親の食知識・食行動と生活習慣
─北海道Y町の母子保健事業におけるモニタリング調査から─
安川 澄子高田 健人岩部 万衣子吉池 信男
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2012 年 70 巻 3 号 p. 197-206

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抄録

【目的】母子保健事業の中で,妊娠期から子育て期における母親の食知識・食行動および生活習慣に関して横断的調査を行い,各時期における特徴を記述し,どの時点における教育的支援が望ましいかを検討する基礎資料を得ること。
【方法】北海道Y町(人口1.9万人)における妊娠期から子育て期に該当する妊婦および3歳までの子供をもつ母親を対象に,自記式質問紙調査を行った。質問紙は,妊娠期(妊娠届時),出産直後(0ヶ月)(出生届時または新生児訪問時),子育て期(3ヶ月・1歳・ 1歳6ヶ月・3歳児健康診査時)の3種類とした。2010年5月から2011年4月にデータ収集を行った。
【結果】772名から有効回答を得た(有効回答率86.7%)。食事バランスの改善に関わる行動変容ステージが維持期の者の割合は,妊娠期7.3%に対して,出産直後(0ヶ月)17.5%と2倍以上であり,その後,子育て期の時期が進むとその割合は高くなり,3歳児健康診査時点では約4倍であった。一方,実行期については,その期間中に増加はしなかった。また,現在の食生活への満足度は,妊娠期(53.6%)は,出産直後(0ヶ月)(78.1%)よりも低かった。飲酒や喫煙習慣者の割合は,妊娠期より出産直後(0ヶ月)に高かった。
【結論】妊娠期から子育て期の母親の食知識・食行動および生活習慣は,各時期で異なり,この期間,特に妊娠期間中の適切な教育的支援が重要であると考えられた。

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© 2012 特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
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