栄養学雑誌
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実践報告
従業員食堂を利用した食環境介入プログラムによる野菜類摂取量の変化
澤田 樹美武見 ゆかり村山 伸子佐々木 敏石田 裕美
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2013 年 71 巻 5 号 p. 253-263

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抄録

【目的】従業員食堂を利用した食環境介入プログラムを従業員全体に実施し,ポピュレーションアプローチによる非肥満者の1年後の野菜類摂取増加を検証する。
【方法】従業員食堂をもつ食品製造企業の関東地域の1工場を介入工場とし,同じく関東地域にある同企業の別工場を比較工場とした。介入工場では平成18年5月の定期健診受診者962名,及び平成19年の受診者991名に調査を実施し,比較工場も同様に平成19年の受診者815名,及び平成20年の受診者843名に調査を実施した。事前・1年後の両調査に回答が得られた非肥満者の介入工場212名と比較工場359名を解析対象者とした。食環境プログラムはトランスセオレティカルモデルを応用し,従業員全体に働きかけた。
【結果】野菜類摂取量は,介入工場の前後では91.8から 106.8 g/1,000 kcalと有意に増加し,比較工場では108.8から 109.7 g/1,000 kcalと有意な増加は認められず,群間差として 14.2(95%CI, 5.1~23.3)g/1,000 kcalの増加が確認された(p=0.036)。
【結論】職域における緩やかな食環境介入を実施し,野菜類摂取量が有意に増加したことから,ヘルスプロモーションの一環として従業員食堂を利用した食環境づくりは,非肥満者の野菜類摂取増加の可能性が示唆されたが,今回は2つの異なる時期に得られた結果の比較検討であることから,介入効果の解釈は慎重な見解を要する。今後は,調査時期を統一した,施設単位による野菜類摂取増加のさらなる検証が必要である。

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© 2013 特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
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