栄養学雑誌
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園児の摂食機能獲得を目指した保育所栄養士等の取組みに関する研究
池谷 真梨子柳沢 幸江
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2013 年 71 巻 5 号 p. 275-281

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抄録

【目的】保育園児の発達段階に合った摂食機能獲得を目指した保育所における取組み(以下,取組みとする)についての資料を得ることを目的とした。
【方法】0~2歳児と摂食に問題のある児への取組みに関する質問紙調査票を,全国の保育所から層化無作為抽出した1,500園に郵送した。管理栄養士,栄養士,または献立作成者(以下,栄養士等とする)に記入を依頼し,357園(有効回収率23.7%)より回答を得た。0~2歳児に対する取組みの調査項目を用いて主成分分析を行い,6因子を抽出した。そして9項目を選び,各回答を取組みが良好なほど高得点で点数化し,合計点を用いて,保育所を高群,中群,低群の3群に分け,その他の項目との関連を検討した。
【結果】0~2歳児に対する取組みが良好である保育所ほど,摂食に問題のある児に関して保育士に聞く頻度や対処方法を話し合う頻度が有意に高く,適切な食形態の提供や摂食に問題のある児への対応ができている割合が有意に高かった。また,保護者に対しても取組みが良好である保育所ほど,保育所での対処方法を伝達している割合が有意に高かった。さらに,過去の取組みへの自己評価や今後の意欲についても3群間で有意差が見られた。
【結論】0~2歳児に対する取組みが良好な保育所は摂食に問題のある児への対応もよく行われており,日頃の取組みが摂食に問題のある児への対応につながることが示唆された。

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© 2013 特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
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