2013 年 71 巻 6 号 p. 323-329
【目的】幼児期前期の子どもの嫌いな食べ物は,1歳6ヶ月児から3歳児にかけて変化するかを既存の縦断的データを用いて質的に検討する。
【方法】静岡県伊東市保健センターにおいて,平成12年度から15年度に出生した子どもを対象に実施した,10ヶ月児,1歳6ヶ月児,3歳児健康診査の全てを受診した1,313人分の問診票データを利用した。項目は,10ヶ月児の属性,1歳6ヶ月児と3歳児の属性および好き嫌いの有無,各年齢における嫌いな食べ物(自由記述)を用いた。また,1歳6ヶ月児と3歳児の両方で好き嫌いがあった者(以下,あり→あり)の内,嫌いな食べ物の内容を抽出して変化の内容を分類した。
【結果】1歳6ヶ月児と3歳児における好き嫌いの有無から4群を作成した結果,“あり→あり”456人(38.7%),“あり→なし”150人(12.7%),“なし→あり”233人(19.8%),“なし→なし”339人(28.8%)であった。“あり→あり”のうち,両年齢で嫌いな食べ物が継続しているかを調べたところ,“嫌いな食べ物継続” 91人(7.7%),嫌いな食べ物が継続しなかった“嫌いな食べ物変化”は154人(13.0%),“判断不能の者”211人(17.9%)の3群に分けられた。
【結論】1歳6ヶ月児と3歳児の両年齢で好き嫌いがあると回答している場合でも,その約半数は嫌いな食べ物が変化しており,その嫌いな食べ物の変化は多様であった。