栄養学雑誌
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総説
食事摂取基準の策定システム構築に関する研究
─国内外のガイドラインの作成手順とレビューシステム─
今井 絵理坪田(宇津木) 恵中出 麻紀子笠岡(坪山) 宜代
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2013 年 71 巻 Supplement1 号 p. S15-S25

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抄録

 本研究では,栄養に関連するガイドラインを作成するためのガイダンスが公開されている国内外の研究機関等(WHO,コクラン共同計画,米国Agency for Healthcare Research and Quality,Medical Information Network Distribution Service診療ガイドライン選定部会)を対象に,レビューシステムについて体系的分類を行い,「日本人の食事摂取基準(2010年版)」との比較を行った。対象とした4つのガイダンスにおいて,作成手順は研究機関によって大きな違いがなく,「PICO形式を用いた疑問の定式化」,「情報源としてプライマリーデータベースと非出版物を使用」,「研究デザインは出来る限りランダム化比較試験とし,観察研究をも含む」は,共通していた事項であった。エビデンスの質,推奨度を判断するスケールは,「日本人の食事摂取基準(2010年版)」では決まったものは公表していなかったが,「GRADEシステム」を推奨しているガイダンスが多くみられた。
 本研究では,系統的レビューに基づいて策定されている国内外のガイドラインのガイダンスから,作成と手順,レビューシステムについて調査し,共通する部分を明らかにした。今後,「日本人の食事摂取基準」を策定する上で,目的に応じた系統的かつ網羅的なレビューシステムのさらなる構築が期待される。

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© 2013 特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
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