2013 年 71 巻 Supplement1 号 p. S46-S55
【目的】日本人の食事摂取基準の給食管理における活用理論を適用し,給食施設における各作業の実施状況,および給食運営のプロセスで生じ得る栄養量の誤差を明らかにすることを目的とした。
【方法】5都府県16施設の高齢者施設を対象として,予め用意したインタビューガイドに沿ってインタビュー方式で調査を行った。調査概要は,給与栄養目標量の設定から提供量,摂取量の把握に至るまでの給食管理の実態である。
【結果】給与栄養目標量の設定に際しては,多くの施設が日本人の食事摂取基準2010年版もしくは2005年版のどちらかを何らかの参考にしており,実際に数値を設定する際には,食事摂取基準の値を荷重平均して使用する施設が多かった。給食施設における各作業の実施状況の結果から,給食運営のプロセス上,栄養計算の段階での「給与栄養量(予定)」と,発注から調理までの段階の「給与栄養量(実際)」の2つの工程に栄養量の誤差が生じ得る場合が多かった。また,「摂取量の把握」には,介護職員や看護師による「目視」を用いている施設がほとんどだった。
【結論】今回の調査から,給食の計画から摂取量把握までの工程の中で給食運営上避けられない誤差が存在することがわかった。これらの誤差の程度を明らかにし,さらにその誤差をできる限り小さくするための対策の立案や整理をしていくことが今後の課題である。