栄養学雑誌
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原著
集団におけるエネルギー及び各栄養素の1日間及び2日間平均値(短期間)と習慣的な摂取量の分布の違い
中川 夕美石川 みどり横山 徹爾
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2015 年 73 巻 4 号 p. 119-132

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抄録

【目的】集団におけるエネルギー及び各栄養素の摂取状態を短期間(1~2日間)の食事調査で評価することの問題の特徴を明らかにすること。
【方法】平成23年度熊本県民健康・栄養調査で得られた18歳以上692名(男性303名,女性389名)の食事調査データを用いた。半秤量式食事記録法により得られた非連続2日間の栄養素等の摂取量データから,分布の正規化のための「べき数」及び個人内変動の調整のための「個人内/個人間分散比」を用いてBest-Power法により習慣的な摂取量の分布を推定し,短期間摂取量と分布の形状,歪度及び標準偏差,並びに基準値未満の者の割合を比較した。
【結果】1日間の歪度は,習慣的な摂取量に比べて男性は13栄養素等のうち10,女性は12で大きく,高値側に分布が歪んでいた。標準偏差は,すべての栄養素等において短期間が習慣的な摂取量より大きく(1.16~7.75倍),分布の幅が広かった。短期間と習慣的な摂取量の基準値未満の者の割合を比較すると,「個人内/個人間分散比」が大きいほど両者のずれ(過大評価又は過小評価)は大きく,短期間摂取量が正規分布に近いと,50パーセンタイルの低値側と高値側で過大評価と過小評価が変化し,高値側に強く歪んだ分布では70パーセンタイル付近で変化した。
【結論】短期間の食事調査では,基準値未満の者の割合は,分布の形や「個人内/個人間分散比」の大きさに関連して,過大評価や過小評価されることが示された。

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© 2015 特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
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