栄養学雑誌
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73 巻 , 4 号
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原著
  • 中川 夕美, 石川 みどり, 横山 徹爾
    2015 年 73 巻 4 号 p. 119-132
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/26
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】集団におけるエネルギー及び各栄養素の摂取状態を短期間(1~2日間)の食事調査で評価することの問題の特徴を明らかにすること。
    【方法】平成23年度熊本県民健康・栄養調査で得られた18歳以上692名(男性303名,女性389名)の食事調査データを用いた。半秤量式食事記録法により得られた非連続2日間の栄養素等の摂取量データから,分布の正規化のための「べき数」及び個人内変動の調整のための「個人内/個人間分散比」を用いてBest-Power法により習慣的な摂取量の分布を推定し,短期間摂取量と分布の形状,歪度及び標準偏差,並びに基準値未満の者の割合を比較した。
    【結果】1日間の歪度は,習慣的な摂取量に比べて男性は13栄養素等のうち10,女性は12で大きく,高値側に分布が歪んでいた。標準偏差は,すべての栄養素等において短期間が習慣的な摂取量より大きく(1.16~7.75倍),分布の幅が広かった。短期間と習慣的な摂取量の基準値未満の者の割合を比較すると,「個人内/個人間分散比」が大きいほど両者のずれ(過大評価又は過小評価)は大きく,短期間摂取量が正規分布に近いと,50パーセンタイルの低値側と高値側で過大評価と過小評価が変化し,高値側に強く歪んだ分布では70パーセンタイル付近で変化した。
    【結論】短期間の食事調査では,基準値未満の者の割合は,分布の形や「個人内/個人間分散比」の大きさに関連して,過大評価や過小評価されることが示された。
実践報告
  • 曽川 美佐子
    2015 年 73 巻 4 号 p. 133-141
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/26
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】管理栄養士・栄養士が配置されていない徳島県立高等学校総合寄宿舎(以下寮と略す)に,管理栄養士が立てた献立表を提供することにより,寮食の改善が見られるかについて検討した。
    【方法】寮とは関係のない施設に勤務する管理栄養士が2010年4月より,寮食の献立表を1ヶ月単位で作成し,徳島県教育委員会を通じて各寮にメールで配信した。寮食が改善されたかどうかの検討は,管理栄養士が立てた献立表(2010年11月)と,以前の献立表(2009年11月)それぞれ20日分を比較することにより行った。給与栄養量,食品群別給与量,エネルギー比率を比較した。また,献立表提供前後の寮食を喫食した寮生に対して質問紙調査を行った。
    【結果】管理栄養士による献立表提供後の給与栄養量は,カルシウム,ビタミンA,ビタミンB1,ビタミンB2,ビタミンC,食物繊維において有意に増加した。食品群別給与量も,献立表提供後において,種実類,野菜類,果実類,きのこ類,乳類等が有意に増加した。エネルギー比率については,脂質エネルギー比率は有意な低下が見られた。質問紙調査の結果,64.5%の寮生は,現在の寮食が献立表提供前と比べて変わったと感じていることが分かった。
    【結論】献立表提供前後の給与栄養量,食品群別給与量,エネルギー比率等を比較した結果,管理栄養士による献立表提供により寮食の改善につながることが示された。
資料
  • 坂本 達昭, 細田 耕平
    2015 年 73 巻 4 号 p. 142-149
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/26
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】小学校5年生の給食の食べ残し状況,給食を残さず食べる自信および給食の楽しさとQOL(Quality of Life)との関連性を検討した。
    【方法】2014年9月から10月にかけて福井県内の小学校9校の5年生607名を対象に調査を実施し,有効回答が得られた566名を解析対象とした。QOLの測定には,6つの下位領域(身体的健康,精神的健康,自尊感情,家族,友だち,学校生活)から構成される小学生用のQOL尺度(Kid-KINDLR)を用いた。児童を給食の食べ残し状況,給食を残さず食べる自信,給食の楽しさについての質問項目の回答により,それぞれ2群に分け,QOL総得点および下位領域の得点をMann-WhitneyのU検定により比較した。
    【結果】男子においては,給食を残さず食べている児童は,給食を残すことがある者に比べて,また,給食を残さず食べる自信がある児童は,自信がない者に比べて QOL総得点が有意に高かった。一方,女子においては,給食の食べ残し状況および給食を残さず食べる自信の有無により,QOL総得点に差は認められなかった。給食の時間をとても楽しいと感じている児童は,男女ともにQOL総得点および精神的健康,自尊感情,友だち等の下位領域の得点が有意に高かった。
    【結論】給食の時間を楽しいと感じることは,男女ともに精神的健康,自尊感情,友だち等の下位領域を含めたQOLの良好さに関連することが示唆された。
  • 伊東 奈那, 赤松 利恵
    2015 年 73 巻 4 号 p. 150-158
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/26
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】栄養教育における教材選択の資料とするため,食生活の指針を参考にしている者とそうでない者の属性や食習慣を検討すること。
    【方法】2009年11月~12月,内閣府が全国満20歳以上の者5,000人を対象に行った「食育の現状と意識に関する調査」のデータを使用した。「食生活の指針を参考にしているか」という質問に対して,「食事バランスガイド」「食生活指針」「日本人の食事摂取基準」「6つの基礎食品」「3色分類」の5つの食生活の指針のうちいずれか1つでも参考にしている者を参考群,参考にしていない者を非参考群とし,属性,食習慣を比較した。また,参考群の中で参考にしている食生活の指針と食習慣の関連も検討した。解析にはχ2 検定と単変量ロジスティック回帰分析を用いた。
    【結果】本調査の回答者2,936人のうち,解析対象者は2,699人(91.9%),参考群1,338人(49.6%),非参考群1,361人(50.4%)であった。最も参考とされていたのは「食事バランスガイド」であった[158人(11.8%)]。非参考群と比較し,参考群には女性が多く(p<0.001),60歳代の者が多かった(p=0.001)。また,参考群は朝食欠食がない者が多く[オッズ比(95%信頼区間)=1.35(1.04~1.77)],バランスの良い食事の頻度が高かった[1.48(1.22~1.80)]。
    【結論】食生活の指針を参考にしている者としていない者では属性に違いがみられ,参考にしている者では,欠食が少なく,バランスの良い食事の頻度と副菜の頻度が高かった。
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