栄養学雑誌
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原著
女子大学生における日本食パターンと抑うつ症状の関連
小林 道上田 積千田 奈々
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2016 年 74 巻 5 号 p. 141-147

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抄録

【目的】日本食パターンは,抑うつ症状に予防的であることが報告されている。しかし,知見は十分でなく,若年層を対象とした研究はほとんどない。本研究では大学生を対象として,日本食パターンと抑うつ症状の関連を明らかにすることを目的とした。
【方法】研究対象者は北海道にあるA大学管理栄養士課程の学生とした。調査内容は,年齢等の基本属性及び生活習慣に関する項目,食品摂取量の評価は,簡易式食事歴質問票(BDHQ)を用いた。抑うつ症状はCES-Dを用いて,16点以上を「抑うつ症状あり」とした。日本食パターンは,11種類の食品摂取量を残差法でエネルギー調整後,得点化を行い,その合計点を日本食得点とした。日本食得点と抑うつ症状の関連は,多変量ロジスティック回帰分析を用いて検討した。
【結果】質問紙は,女性142名のうち135名から回収した(回収率:95.5%)。そのうち,抑うつ症状が認められた者は,68名(50.3%)であった。多変量ロジスティック回帰分析の結果,日本食得点の低群を1とした場合のオッズ比(95%信頼区間)は,中群でOR:0.30(95%CI:0.11~0.80),高群でOR:0.22(0.08~0.60)であった。
【結論】日本食パターンと抑うつ症状の間に負の関連があることが明らかとなった。若年層においては,日本食パターンを意識した食事が,抑うつ症状の予防に役立つ可能性がある。

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© 2016 特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
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