栄養学雑誌
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74 巻 , 5 号
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総説
  • 石見 佳子
    2016 年 74 巻 5 号 p. 117-127
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/16
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】健康食品は人びとの日常生活で利用されてきているが,その有効性と安全性について科学的根拠に乏しいものも市場に出回っている。筆者らは,食の安全確保を目的として,特に骨及び関節に関連する健康食品素材について,有効性評価及び健康影響評価を行った。
    【方法】健康食品素材を骨粗鬆症または関節症モデル動物に混餌により摂取させ,28日間反復投与試験を実施した。一部の素材については,国立健康・栄養研究所倫理委員会の承認を得て,閉経後女性を対象に無作為割付比較試験を実施した。
    【結果】大豆イソフラボンについては,動物試験において骨に対する作用と生殖器官に対する作用で用量依存性が異なること,ヒトを対象とした介入試験において,骨に対する作用の一部はその代謝産物であるエクオールの産生に依存することが明らかになった。一方,ビタミンKについては,健常な閉経後女性において,骨の健康維持の観点からは不足している可能性があること,さらにメナキノン—4 の摂取により,骨代謝が改善される可能性が示唆された。コラーゲンペプチド,メチルスルホニルメタン,スピルリナ,レスベラトロールについては,過剰摂取は避けるべきであることが示された。
    【結論】今般,新たな機能性表示食品制度が創設されたことを踏まえると,健康食品の有効性評価及び健康影響評価は,レギュラトリーサイエンスの領域の中で引き続き重要な課題であると考えられた。これらの研究は,消費者の食の安全確保につながるものである。
原著
  • 早渕 仁美, 徳田 洋子, 松永 泰子, 黒谷 佳代, 武見 ゆかり
    2016 年 74 巻 5 号 p. 128-140
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/16
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】「日本人の食事摂取基準(2015年版)」の考え方を食事バランスガイドに反映させ,食事バランスガイドの料理区分別サービング数(以下,「SV」と略)を算定し直し,エネルギー産生栄養素バランスの目標量に合致するか確認する。
    【方法】日本人の食事摂取基準(2015年版)で設定されたエネルギー産生栄養素バランスの目標量に留意し,料理区分別SVを食品構成の考え方に基づき算定する設定条件を見直した。たんぱく質のエネルギー産生栄養素バランス(以下,「たんぱく質%E」)と穀類エネルギー比率,及び5料理区分以外(菓子・嗜好飲料等)からのエネルギー(以下,「他Ene」と略)の条件を見直し,矛盾のない妥当な設定基準範囲について検討した。
    【結果】 設定条件の見直しによる基準エネルギー範囲の料理区分別SVの変化と,そのSVに基づき算出したエネルギー産生栄養素バランス(%E)と食塩量の分布を明らかにした。基準エネルギー 1,200~3,200 kcalに,たんぱく質%E16.5~14.5,穀類エネルギー比率38.0~45.0%,他Ene 0~100 kcalを設定して算定した料理区分別SVを用いた栄養価が,最も日本人の食事摂取基準(2015年版)に適合していた。
    【結論】見直し後の食事バランスガイドSVは,主食が 1 SV程度低値,主菜は 2 SV程度高値に,副菜と牛乳・乳製品,果物は現状とほぼ同値になった。
  • 小林 道, 上田 積, 千田 奈々
    2016 年 74 巻 5 号 p. 141-147
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/16
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】日本食パターンは,抑うつ症状に予防的であることが報告されている。しかし,知見は十分でなく,若年層を対象とした研究はほとんどない。本研究では大学生を対象として,日本食パターンと抑うつ症状の関連を明らかにすることを目的とした。
    【方法】研究対象者は北海道にあるA大学管理栄養士課程の学生とした。調査内容は,年齢等の基本属性及び生活習慣に関する項目,食品摂取量の評価は,簡易式食事歴質問票(BDHQ)を用いた。抑うつ症状はCES-Dを用いて,16点以上を「抑うつ症状あり」とした。日本食パターンは,11種類の食品摂取量を残差法でエネルギー調整後,得点化を行い,その合計点を日本食得点とした。日本食得点と抑うつ症状の関連は,多変量ロジスティック回帰分析を用いて検討した。
    【結果】質問紙は,女性142名のうち135名から回収した(回収率:95.5%)。そのうち,抑うつ症状が認められた者は,68名(50.3%)であった。多変量ロジスティック回帰分析の結果,日本食得点の低群を1とした場合のオッズ比(95%信頼区間)は,中群でOR:0.30(95%CI:0.11~0.80),高群でOR:0.22(0.08~0.60)であった。
    【結論】日本食パターンと抑うつ症状の間に負の関連があることが明らかとなった。若年層においては,日本食パターンを意識した食事が,抑うつ症状の予防に役立つ可能性がある。
資料
  • 村井 陽子, 多門 隆子, 竹山 育子, 岸田 由岐, 杉山 文, 堀野 成代
    2016 年 74 巻 5 号 p. 148-155
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/16
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】3年次の実習科目の中に位置付けた地域連携事業「糖尿病フェスタ」に着目し,社会人基礎力と管理栄養士基本コンピテンシーの自己評価の変化から地域連携事業の効果について検討した。
    【方法】2015年に「臨床栄養学実習」を履修した学生59名のうち,「糖尿病フェスタ」に参加して事前,事後に評価シートに回答した55名(男子6名,女子49名)を解析対象とした。社会人基礎力の12の能力要素および管理栄養士基本コンピテンシー4項目の自己評価の結果から,事前,事後の評価得点の差,向上させたい社会人基礎力の能力要素の選択と伸長得点の関連,管理栄養士基本コンピテンシーの伸長得点と社会人基礎力の伸長得点の相関について検討し,事後評価の自由記述をまとめた。
    【結果】「糖尿病フェスタ」前後で,社会人基礎力の12の能力要素および管理栄養士基本コンピテンシー4項目の自己評価はすべて有意に向上した。社会人基礎力の4つの能力要素では,向上させたいと選択した群で非選択群より有意に高い伸長得点がみられた。管理栄養士基本コンピテンシーのうち最も事前評価の低かった自己確信の伸長得点は,社会人基礎力の7つの能力要素の伸長得点と正の相関を示した。自由記述には,「知識,技術の不足」などの課題がみられた。
    【結論】地域連携事業「糖尿病フェスタ」は,学生の管理栄養士に対する職業意識を高め,さらなる学びの必要性を認識させる実践であったことが示唆された。
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