2020 年 78 巻 1 号 p. 37-46
【目的】本研究は企業チームに属さない競技志向の高い社会人アスリートやスポーツを楽しむ人々への適正な栄養素等摂取啓発を目的とし,企業チームに属していない社会人アスリートにおける栄養摂取の実態把握とその課題を明らかにするために,社会人女子ラクロス選手を対象に勤務日と練習日の身体活動量と栄養素等摂取量について比較検討を行った。
【方法】対象は社会人女子ラクロスクラブSチームの選手13名(年齢25.9±2.6歳)とした。測定・調査内容は体格及び身体組成,秤量記録法と写真記録法を用いた練習日2日間・勤務日2日間のエネルギー及び栄養素等摂取量,練習日2日間・勤務日5日間のエネルギー消費量とした。
【結果】エネルギー消費量は,練習日の方が約 400 kcal高かった(練習日:2,437±201 kcal,勤務日:2,000±160 kcal,p<0.001)。しかし,エネルギー摂取量に差はなかった。練習日の方が体重あたり炭水化物摂取量は少なく(p=0.009),たんぱく質エネルギー比率は低かった(p=0.021)。練習日の食事では,エネルギー消費量の増量分を補えていなかった。
【結論】社会人女子アスリートの練習日における体重あたり炭水化物摂取量,たんぱく質エネルギー比率の低下を防ぐためには,練習日は欠食せずに,各食事において炭水化物源となる主食とたんぱく質源となる主菜の摂取量を増やす必要性が示唆された。