栄養学雑誌
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原著
小学生の子を持つ保護者の世帯収入別にみた食生活状況に関する研究
駿藤 晶子山本 妙子吉岡 有紀子硲野 佐也香石田 裕美村山 伸子
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2020 年 78 巻 4 号 p. 143-151

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抄録

【目的】本研究は,日本において,世帯収入と小学生の子を持つ保護者の食料品へのアクセスも含めた食生活状況との関連を明らかにすることを目的とした。

【方法】東日本4県の4地域(6市村)の19小学校に在籍する小学5年生(10~11歳)の保護者のうち,同意が得られた1,231名を対象に質問紙調査を実施し,そのうち920名を解析の対象者とした。世帯収入が貧困基準以下の群(低収入群)とそれ以外の群(低収入以外群)に分け,朝食を食べる頻度,家庭での食品の使用頻度,子どもの食事に関する項目,食料品の入手や買い物に関する項目,時間的なゆとりの実感,地域での子育てに関する項目と世帯収入との関連について,χ2 検定またはFisherの正確確率検定を用いて検討し,その後,各項目を目的変数とし,説明変数は世帯収入として二項ロジスティック回帰分析を行った。

【結果】多変量解析の結果,低収入群は低収入以外群に比べて,子どもの健康維持に適した食事の量とバランスがわからないといった食知識がない者,経済的な理由もしくは買い物が不便であるという理由で生鮮食品や必要とする食物の入手が困難になる者,時間的なゆとりを感じていない者が多かった。

【結論】小学生の子を持つ保護者は,世帯収入が貧困基準以下であると,子どもの健康維持に関する食知識がない者,経済的な理由もしくは買い物が不便なために食料品の入手が困難である者,時間的ゆとり感がない者が多いことが明らかになった。

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© 2020 特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
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