【目的】地域レベルの介護予防の推進のために,中山間地域における近隣食環境とたんぱく質摂取量との関連を明らかにすることを目的とした。
【方法】本研究は中山間地域在住高齢者942名を対象とした横断研究である。地理情報システムによって自宅からスーパーとコンビニまでの最短距離を算出し,簡易型自記式食事歴法質問票にて調査したたんぱく質摂取量が低いこととの関連性を多変量回帰分析にて調べた。生活内の移動に関する環境要因として鉄道駅とバス停のアクセスについても検討した。副次アウトカムとして主なたんぱく質供給源である食品群別摂取量とスーパーとコンビニまでの距離との関連を調べた。
【結果】スーパーまでの距離とたんぱく質摂取量との有意な関連はなかったが,コンビニが遠いほどたんぱく質摂取量が少なくなる有意な傾向性がみられた。バス停が 400 m圏内にないことが,少ないたんぱく質摂取量と有意に関連した。スーパーとコンビニそれぞれまでの距離と主なたんぱく質供給源の摂取量との有意な関連はみられなかった。
【結論】スーパーまでの最短距離とたんぱく質摂取量には有意な関連はなかったが,コンビニが遠いこと,バス停までのアクセスが悪いことが少ないたんぱく質摂取量と有意に関連した。中山間地域におけるたんぱく質摂取の促進のための食生活改善アプローチには,コンビニやバス停へのアクセシビリティに配慮した支援策が必要であることが示唆された。