栄養学雑誌
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研究ノート
高校生におけるセルフエスティームと食・生活習慣セルフエフィカシー,食行動変容ステージ及び食事摂取状況との関連
木林 悦子
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2022 年 80 巻 1 号 p. 21-31

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抄録

【目的】高校生におけるセルフエスティームと食・生活習慣セルフエフィカシー,食行動変容ステージ及び食事摂取状況との関連を因果構造的に明らかにする。

【方法】兵庫県N市の公立高等学校(1校)に在籍する2015年度2年生357名のうち,回答が得られた301名を対象とした。セルフエスティームはRosenbergの尺度を用い,これが影響する観測変数として,食・生活習慣セルフエフィカシー(信頼性と妥当性が確認された12項目の尺度),食行動変容ステージ(Transtheoretical Modelに基づいた5段階),食事摂取状況(Food Frequency Questionnaireから日本人の食事摂取基準をもとにスコア化)を用いた仮説モデルを立て,共分散構造分析をした。

【結果】本仮説モデルの配置不変性を検討した結果,許容範囲の適合度が得られ(χ2=226.458,df=176,GFI=0.919,AGFI=0.874,CFI=0.948,RMSEA=0.031),男子ではセルフエスティームから12項目の食・生活習慣セルフエフィカシーを始めとする各パスに有意な正のパスが示されなかった。一方,女子ではセルフエスティームが,12項目の食・生活習慣セルフエフィカシーに有意な正のパス(0.16,p=0.041),そこから食行動変容ステージへのパス(0.29,p=0.002)を介して食事摂取状況(0.19,p=0.013)に影響を及ぼす間接効果が示された。

【結論】高校2年生の女子では,セルフエスティームを高めることで食・生活習慣セルフエフィカシーを高め,さらに食行動変容ステージの向上を介して,食生活に影響を及ぼすことが示唆された。

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