栄養学雑誌
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研究ノート
飲食店経営者の健康な食事に対する信念
─健康な食事を売れないと考える経営者の特徴─
頓所 希望赤松 利恵小松 美穂乃
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2022 年 80 巻 3 号 p. 169-176

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抄録

【目的】本研究は,飲食店における健康な食環境整備の推進を目指し,健康な食事は売れないと考える飲食店経営者の特徴および健康な食事提供に対する障壁と健康な食事に対する信念を検討した。

【方法】2019年5月に外食事業者を対象にインターネット調査から得た387人のデータを用いた。健康な食事は「売れる」「売れない」の2群とし,対象者および店舗の属性の比較にはχ2 検定,健康な食事の提供に対する障壁と健康な食事に対する信念はMann-WhitneyのU検定,障壁と信念の関係はSpearmanの順位相関係数を用いて検討した(有意水準5%未満)。

【結果】「売れる」群240人(62.0%),「売れない」群147人(38.0%)であった。「売れない」群は,「売れる」群に比べ,利用客の8割以上が勤務者の店舗(p=0.037),利用客に男性の方が多い店舗が多く(p=0.001),健康な食事提供は「商品単価が上がる」「味が落ちる」「作業効率が悪い」「ボリューム感がなくなる」と考える得点が高かった。健康な食事に対する信念は,「低エネルギー・低脂質・減塩」の得点が高かった(p<0.001)。

【結論】健康な食事を売れないと考える飲食店経営者は,健康な食事に対して不合理な信念をもち,これらの信念は,各飲食店の顧客の特徴に影響されている可能性が示唆された。

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© 2022 特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
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