栄養学雑誌
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研究ノート
野菜摂取量推定装置による自己モニタリングを取り入れた栄養教育が勤労者の野菜摂取量に与える影響
信田 幸大曽根 智子衛藤 久美
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2022 年 80 巻 4 号 p. 256-264

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抄録

【目的】野菜摂取動機付けセミナー及び野菜飲料提供による環境サポートに加え,野菜摂取量推定装置による自己モニタリングを取り入れた栄養教育プログラムが,勤労者の野菜摂取量に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。

【方法】勤労者男女を対象に層別化無作為比較試験を実施した。解析対象者は145名(介入群74名,対照群71名,平均年齢42歳)であった。両群に,管理栄養士による野菜摂取動機付けセミナー及び野菜飲料提供による4週間の環境サポートを実施し,介入群のみに野菜摂取量推定装置の測定を試験開始から10週間実施した。介入前,環境サポート終了後,及び野菜摂取量推定装置の測定期間終了後に食物摂取頻度調査票を用いた野菜摂取量,及び野菜摂取に関する行動変容ステージを調査し,群内比較及び群間比較を行った。

【結果】介入前と比較した野菜摂取量の変化量を群間で比較した結果,介入4週目では有意差は認められなかったが,介入10週目では対照群よりも介入群の方が,有意に変化量が大きかった。行動変容ステージは,介入群では介入前と比較して各期間で有意な前進が認められたが,群間差は認められなかった。

【結論】動機付けセミナー及び環境サポートに加え,野菜摂取量推定装置による自己モニタリングを実施することで,環境サポート終了後も野菜摂取に関する行動変容ステージの前進が維持され,それに伴い野菜摂取量の減少も抑えられる可能性がある。

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© 2022 特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
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