栄養学雑誌
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環境負荷が少ない健康な食事の食品群別使用量
─窒素フットプリントを用いた分析から─
鮫島 媛乃赤松 利恵林 芙美武見 ゆかり
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2022 年 80 巻 6 号 p. 307-316

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抄録

【目的】地球環境と健康の両方に資する食物選択の推進に向けて,環境負荷の少ない健康な食事の特徴を探るため,窒素フットプリント (以下,NF) を用いて健康な食事の食品群別使用状況を調べた。

【方法】「健康な食事・食環境」認証制度の外食・中食部門のスマートミール602食の食事データを用いて,N-Calculator法によりNFを算出した。650 kcalあたりに調整したNFで食事を5群に分け,食品群別のNFが1食のNFに占める割合を調べ,χ2 検定,Kruskal-Wallis検定を用いて,食品群別使用量,食品群別出現率,出現時使用量を比較した。

【結果】解析対象は509食 (解析対象率84.6%) であった。1食あたりのNFは9.46~48.89 g-N/650 kcalであった。NF 5群のいずれの群でもたんぱく質源食品群のNFの割合が最も高かった。NFが最も低いQ1群はその他の群に比べ,いも類,砂糖・甘味料類,藻類,魚介類,油脂類の使用量が多く,野菜類,肉類,乳類の使用量が少なかった。たんぱく質源食品群である大豆・加工品,魚介類,牛肉,豚肉,鶏肉,卵類のQ1群での出現率は順に48.5%,89.1%,0.0%,12.9%,4.0%,38.6%であった。

【結論】同じ基準で作成した健康な食事でもNFは異なり,NFが低い健康な食事は主に肉類以外のたんぱく質源食品群を使用した食事であった。

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© 2022 特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
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