【目的】本研究では保育所等を対象に,栄養管理加算の認定の有無別による栄養管理の実態を把握することを目的とした。
【方法】2019年8月~10月に,国内8市の1,538の保育所等を対象に,郵送法により質問紙を配布し,979施設より回答を得た。このうち,運営形態に私立と回答し,栄養管理加算の認定の有無に回答があった684施設を本研究の解析対象とした。栄養管理については食事提供のPDCAサイクルとして12項目,保護者への栄養教育として栄養・食生活に関する情報提供について8項目を尋ねた。
【結果】栄養管理加算の認定の有無について,認定なし群は200施設 (29.2%),認定あり群は484施設 (70.8%) であった。栄養管理加算の認定あり群が認定なし群に比べて,食事提供のPDCAサイクルのPlanに該当する項目のうち,給与栄養量の計算 (昼食とおやつ) をしているオッズ比は2.36 (95%信頼区間 (95%CI):1.46~3.82) であり,栄養・食生活に関する情報提供のうち,給食の試食会を実施しているオッズ比は1.53 (95%CI: 1.07~2.17) であった。
【結論】食事提供のPDCAサイクルについて,Planの給与栄養目標量の設定,給与栄養量の計算 (昼食とおやつ),Actionの給与栄養目標量の設定の見直しについて,また,保護者への栄養教育として,給食の試食会の実施について,栄養管理加算の認定なし群に比べて認定あり群の施設において多く実施されていた。栄養管理加算の認定なしに比べて,認定ありの施設では栄養管理が良好であることが示された。