栄養学雑誌
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低温貯蔵野菜の品質および成分の変化
特に細胞組織, 水分量およびアミノ態窒素含有量について
高間 総子斎藤 進
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1971 年 29 巻 6 号 p. 255-260

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抄録

低温における野菜貯蔵の効果をみるため, 試料にピーマン, トマトおよび人参を用いて, 対象区を室温とし品質, 重量, 水分量, 硬度, 細胞組織およびアミノ態窒素量の経時的変化をみた。その結果低温に貯蔵したものは室温のものに比し重量の減少は少なく水分含有量も多く, 従って品質, 鮮度の低下が少なかった。しかし硬度測定の結果では室温貯蔵のものは数値が低く軟化の早いことを示し, さらに組織の切片を検鏡した場合, この区のものは表皮細胞に変化がみられ, 鮮度, 品質の低下が明らかであった。なおピーマン, トマトのアミノ態窒素量の経時的変化では低温のものに比し室温貯蔵のものは含有量の増加が認められ, 内容成分の変化も野菜貯蔵の温度条件で異なることを示した。
以上低温で蔬菜を貯蔵する場合低温は生鮮食品としての新鮮度, 品質の保持によい影響を与えていることを水分の含有量とこれに関する消耗率, 組織の硬軟, 細胞膜の状態およびアミノ態窒素の消長より確認することができた。

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