1974 年 32 巻 3 号 p. 103-106
静岡産及び宇治産の玉露・煎茶 (一番茶・二番茶) 及び番茶, 九州嬉野の煎茶, 宇治産の碾茶 (濃茶・淡茶) を試料として, 茶葉のNa及びK含有量と温湯及び熱湯による浸出液のNa及びK含有量を調べた。
1. 茶葉のNa含有量は少量で, 煎茶 (二番茶) と番茶が最も少なかった。碾茶には, 100mg%前後のNaが含まれていた。
2. 茶葉のK含有量は, きわめて高く, K/Naは玉露・煎茶 (一番茶) で76~96, 煎茶 (二番茶) 及び番茶では115~157であった。碾茶は特異的でNa含有量多く, K/Naは25~30であった。
3. 浸出液中のNa含有量は少量であったが, K含有量はきわめて多く, 玉露・煎茶 (一番茶) の溶出率が高く, 100℃で浸出すると3分間で90~95%を溶出した。番茶は, 100℃3分間で80%以下であった。
4. 同じ茶葉を100℃で3回煎じた場合には, 浸出液のK含有量は茶葉成分の10%しか含まれていないが, その際でもおよそ200mg%の含有量であった。
以上の結果より, 茶葉浸出液には多量のKを含み, 高K食に適した飲料であるが, 低K食には不適当な飲料と見なすことができる。