抄録
アフラトキシン投与によるビタミンA欠乏症状発生の原因を追求するため, β-カロチンからビタミンAへの転換に及ぼすアフラトキシンの影響と, 肝臓内でのビタミンA代謝に与かる肝ミクロソーム酸化酵素系の誘導に及ぼすアフラトキシンの影響について実験を行なった。ビタミンA欠乏ラットにβ-カロチンを投与すれば体重の回復が起こり, 肝臓内のビタミンA量も増加するが, β-カロチンとアフラトキシン同時投与では体重は減少を続け, 肝臓内のビタミンA量も少なかった。以上のことからβ-カロチンからビタミンAへの転換はアフラトキシンで抑えられることがわかった。またビタミンA代謝作用がある肝ミクロソーム酸化酵素系はその律速酵素であるNADPH-Cytochrome C reductase 活性および, 電子伝達系構成たん白質であるP-450はともにアフラトキシンにより増加し, その結果アフラトキシン投与によりビタミンAの代謝能力も増加することがわかった。