1979 年 37 巻 1 号 p. 29-36
10~12歳の児童210名を対象に, 野菜類の嗜好とウ蝕の罹患状態および消化器官の病的自覚症状等に関する健康調査との関係について検討を加えた。野菜類の嗜好の度合は嗜好意欲尺度 (FACT scale) を用いた。ウ蝕の罹患状態はDMF歯率によった。
その結果は下記のように要約される。
1) 調査した野菜類全16品目に関して, ウ歯の多い児童は少ない児童に比べて, それらを嫌うことを有意と認めた。さらに, そのうち14品目に関して, 野菜類の嗜好意欲尺度値とDMF歯率との間には逆相関が有意に成立した。
2) 甘いものの間食をよくする児童は, それをしない児童に比べて, 野菜嫌いでウ歯が多いことを有意と認めた。
3) 食欲不振の児童は, そうでない児童に比べて, ウ歯が多いことを有意と認めた。
4) 下痢気味の児童や毎日歯をみがかない児童は, それぞれ, そうでない児童に比べて野菜類を嫌うことを有意と認めた。