昭和52年8月1日から6日にわたり, 岩手県川井村の30歳から65歳の婦人70名を対象に摂取栄養素量, 血液性状値を調査し, 次の結果を得た。
1) 栄養素の摂取状況は全般的に低く, ビタミンAとビタミンB
2がとくに低く, 50%以下であり, ついで脂肪, カルシウム, ビタミンB
1の順であった。また充足率の高いたん白質も質の面からみると低く, たん白価の高い食品の摂取率を高める必要がある。
2) 血液性状の平均値はヘマトクリット39.2±2.6%, ヘモグロビン12.7±1.4g/d
l, 血清鉄84.5±30.4μg/d
l, 血清たん白質7.2±0.6g/d
l, 血清アルブミン4.2±0.3g/d
l, A/G比1.4±0.5, 血清コレステロール167.5±33.0mg/d
l, 血清トリグリセライド92.8±63.1mg/d
lであった。
3) ヘマトクリット値36%未満及びヘモグロビン量12.0g/d
l未満の者が28.6%あった。
4) 貧血, 正常者別摂取栄養素量では, 有意差は認められなかった。
5) 血液性状のうち血清鉄のみが貧血群で70.0μg/d
lと正常群よりも20.3μg/d
l有意に低く, 山村婦人の貧血が鉄欠乏によるものと推論した。
6) 血圧では, 最大血圧150mmHg以上, 最小血圧90mmHg以上が32.9%あった。
7) 血圧別摂取栄養素量, 血液性状値については明らかな違いは認められなかった。
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