栄養学雑誌
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糖尿病患者の血清脂質に影響する因子
松下 紀美子斎藤 昇大辻 房枝
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1982 年 40 巻 2 号 p. 79-90

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抄録

1) 加齢によりLDL-Cは上昇する傾向であった。
2) 肥満ではHDL-Cは減少し, T-C, T-C/HDL-C比, TG, LDL-Cは増加した。これより標準体重比の調整が重要であることが示唆された。
3) FBSが増加するに従い, T-CやTGが上昇するが, HDL-Cは一定の傾向を示さなかった。これより血糖のコントロールをよくすることがT-CやTGの改善につながることが確認された。
4) 特に動脈硬化指数の (T-C-HDL-C)/HDL-C比とよく相関する標準体重比, T-C, TG, LDL-C, β-リポのコントロールは糖尿病患老にとっても重要である。
5) HDL-Cは標準体重比, TG, LDL-Cと負の相関を示すが, 年齢, 血圧値, FBS, 尿糖量, LPO, T-Cとの間には特に相関はみられなかった。
6) 糖尿病においては血清脂質間に密接な関係が認められ, 特にTGの是正が他の脂質によい影響をもたらすことが示唆された。
7) 飽和脂肪酸を多く含む食品の摂取品目の増加はT-Cを上昇させ, 野菜の1日200g以上の摂取はHDL-Cを上昇させた。
8) アルコール飲料, タバコと血清脂質の関係をみたところ, 特にタバコがHDL-Cを減少させることが示された。

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