栄養学雑誌
Online ISSN : 1883-7921
Print ISSN : 0021-5147
ISSN-L : 0021-5147
学校給食における栄養教育について
愛媛県小学校の栄養教育体制および同教師と教員養成大学・短大食物学教員の意識調査
宇高 順子門田 なおみ
著者情報
ジャーナル フリー

1982 年 40 巻 3 号 p. 131-140

詳細
抄録

愛媛県下小学校の学校給食における栄養教育の実態と, 教師 (給食主任), 教員養成大学・短大食物学教員の意識を調査した。その結果,
1) 小学校教師には, 学校給食を主に社会性教育の場として位置づけている者が多かった。給食の成果, 材料購入規模, 給食内容について現状肯定的に捉えている教師が多かった。
2) 給食内容に対する小学校教師の意識と指導内容の間に矛盾がみられた。児童の食生活についての教師の問題認識や指導必要性の意識と, 学校で指導している内容との間に, ずれがみられた。これらに対して, 給食内容の不備の改善, 教師の食物専門知識付与による意識向上, 栄養士の増員, 栄養士の給食指導への参加, 指導体制の整備が必要と考えられた。
3) 給食主任は20代女教師が多かった。栄養士の給食指導への参加校が少なかった。給食指導体制に不備を感じている教師が多かった。食物専門知識の付与の機会を望む教師が多かった。栄養士の給食指導への参加を望む教師が多かった。
4) 食物学教員については, 学校給食に関する授業の実施者には学校給食を, 食物選択能力養成を主眼とする栄養教育, 体位・健康への直接的貢献の場として, 非実施者には主に社会性教育の場として捉える者が多かった。授業実施者は, 食物選択習慣養成などの栄養教育面の成果や栄養士の地位に対して強く憂慮していた。
5) 教員養成大学・短大における学校給食に関する授業実施率は大学15%, 短大39%で, 対象学生が限られていた。より多くの学生を対象とした学校給食に関する授業の, 教員養成校のカリキュラムへの位置づけが嘱望された。
6) 家庭食改善を組み込んだ給食形態, 指導体制の検討が必要と考えられた。

著者関連情報
© 特定非営利活動法人日本栄養改善学会
次の記事
feedback
Top