栄養学雑誌
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成長中マウスにおけるフィチン酸ナトリウムの分解
吉田 勉篠田 粧子
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1982 年 40 巻 5 号 p. 269-273

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抄録

試料中フィチン酸含量を測定するためには, まずフィチン酸を溶液中に抽出する必要があるため, 飼料および糞中のフィチン酸の抽出に要する回数を検討した。その結果, 1.2%HCl溶液による抽出回数は, 飼料では3回, 糞では5回で十分なことがわかった。また, 上記抽出液中でのフィチン酸の分解を防ぐには, 冷蔵庫内 (5℃) で1ヵ月以内の保存が望ましいと思われた。
マウス排糞後2時間以内に集めた糞でも, それ以降24時間まで室温放置した後に集めた糞でも, 糞中フィチン酸含量には差がわなかったので, 室温に1日以内放置した糞中のフィチン酸の合成分解は問題にする必要がないと考えられた。フィチン酸ナトリウムを0.64% (乾物中) 含有する精製飼料を給与された成長中マウスは, フィチン酸中リン酸の約65%を加水分解した。

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