抄録
慢性腎不全患者の高中性脂肪血症は, 動脈硬化の進展との関連で注目されている。慢性腎不全患者の食事療法としては, 低たん白高糖質食が一般的である。しかし, 慢性腎不全患者では中性脂肪処理能が低下しているので, 高糖質食や糖代謝異常は高中性脂肪血症の第一の成因となろう。
本研究では, 8名の非透析慢性腎不全患者に1週間ずつ, 1,800 kcalで高糖質食 (総ェネルギーの平均63.9%) および低糖質高脂肪食 (同平均47.0%) を摂取させた。低糖質食摂取により, 血清中性脂肪の有意の減少をみたが, コレステロール, 遊離脂肪酸, リン脂質の変化はみられなかった。今回の成績により, 低糖質高脂肪食は, 慢性腎不全患者の高中性脂肪血症を抑え, 動脈硬化症の進展を予防するものと思われた。