栄養学雑誌
Online ISSN : 1883-7921
Print ISSN : 0021-5147
ISSN-L : 0021-5147
魚類脂質の脂肪酸組成
斎藤 衛郎小畠 義樹田ヶ谷 研一吉田 武雄山崎 英也西出 英一印南 敏
著者情報
ジャーナル フリー

1985 年 43 巻 6 号 p. 301-318

詳細
抄録

魚類76種211検体を, 東京築地魚市場より入手し, 可食部の脂質含量および構成脂肪酸組成を測定した。これらの試料は, いずれも漁獲時期, 出荷地が確認されているもののみであった。測定結果を要約すると次の通りである。
1) 脂質含量は魚種の違いにより, また同一魚種においても季節により, 大きな差異がみられた。
2) 脂肪酸組成は魚種の違いにより, また同一魚種においても生育環境の違いにより差異がみられた。この変動幅は一般に大きかった。
3) 脂肪酸組成からみた各脂肪酸の割合は, 飽和脂肪酸ではC16:0, モノエン酸ではC18:1が最も高かった。また, ポリエン酸ではC22:6が最高で, 次いでC22:5が高かった。
4) 脂肪酸組成は, 季節変化に応じた一定の傾向が認められなかった。また, 出荷地の違いによる脂肪酸組成の変化にも一定の傾向は観察されなかった。
5) 脂肪酸組成中のω3系ポリエン酸の割合は, 一般に脂質含量の低い試料や低温環境に生育した魚種に高い傾向がみられた。
6) 脂肪酸組成中のC22:6およびω3系のポリエン酸の含有割合と脂質含量の間には有意の逆相関関係を認めた。ただし, C20:5 (ω3) と脂質含量の間には相関関係は認められなかった。また, C16:0と脂質含量の間にも有意の逆相関関係が認められ, 一方モノエン酸合計およびC18:1と脂質含量の間にはそれぞれ有意の正の相関関係が認められた。

著者関連情報
© 特定非営利活動法人日本栄養改善学会
前の記事 次の記事
feedback
Top