栄養学雑誌
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地域の疾病構造とそこに居住する高齢者の食生活との関連について
坂本 むつ子小松 良子河内 卓豊川 裕之
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1987 年 45 巻 1 号 p. 23-31

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抄録

地域における成人病の動態を, 人口動態調査死亡票より性・年齢・病名・住所別に調査したところ, 疾病構造パターンに地域特異性があることがわかった。
地域特異性のある2地区 (心疾患死亡優位地区と脳血管疾患死亡優位地区) の日常生活に不自由なく, 健康な60歳以上の高齢者 (男50人, 女55人, 計105人, 平均年齢71.2歳, ほとんどの人が無職) を対象に, 食事調査を実施した。
調査方法は3日間の食物摂取状況調査, 食生活アンケート調査で, 多変量解析により食物消費パターンの検討も行った。
結果は, 地域・各個人により大きな差があることがわかった。心疾患死亡優位地区では, 主食パン型副食多食の近代型で, スナック, コーヒー, 牛乳という食生活で, 朝・昼・夕にご飯という人は, わずかに17%にすぎなかった。また, 脳血管疾患死亡優位地区では, 主食米型副食少食の伝統型で, 約70%の人が朝・昼・夕ご飯を食べてみそ汁と漬け物をとっていた。個々人についてみると, 心疾患死亡優位地区では, 糖質, 脂肪がそれぞれ所要量の3.8倍, 2.2倍も多く摂取している人がいた。反対に脳血管疾患死亡優位地区では, エネルギー, 脂肪が所要量にみたない人がいるなど個人差が幅広くみられた。

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