高齢化社会にあたり, 老年者への栄養指導の指針を得ることを目的に, 3世代同居世帯の老人を対象に, その嗜好と食物摂取行動を調査し, 次の結果を得た。
1) 食品96種のうち老人の好きな食品は, 飯・餅・玉ねぎ・豆腐・わかめ・いちご, 嫌いな食品は, いか・たこ・レバー・鯨肉・納豆・山羊乳・スキムミルク・チーズ・ヨーグルト・ハム・ソーセージ・スパゲッティ・さんま・わかさぎ・竹輪・がんもどき・インスタントラーメン・ふだん草で, 食品35種への嗜好には, 数量化III類により性差, 年齢差がみられた。
2) 料理65種類のうち老人の好きな料理は, 刺身・魚の煮付け・たくあん漬け・いもの煮ころがし・五目寿司, 嫌いな料理は豚ちり・しゅうまい・うの花和え・からし和えおよびわさび和え・カレーライス・ピラフ・サンドイッチで, 数量化III類により, 性差, 年齢差がみられた。
3) 食品群嗜好の主成分分析によると, 第1主成分は嗜好の大きさ, 第2主成分はたん白質性食品, 非たん白質性食品への嗜好の性質, 第3主成分は豆・豆製品類と穀類, 卵類の嗜好に関する成分であり, 料理群嗜好の第1主成分は料理群への嗜好の大きさ, 第2主成分は和風の日常的料理と洋風料理への嗜好傾向を示した。
4) 主食摂取パターンには性差がみられ,“3食とも飯”は男性に多く, 統計上有意の差があった。また, 味付けの好みには年齢差はなく性差がみられ, 特に“酸っぱいもの”を好むものは, 有意に女性に多かった。
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