栄養学雑誌
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女子短大寮における食品, 栄養素摂取量の食事別配分およびその相互関係
冨田 絹子西田 美枝子山下 慶子桝元 慶子
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1988 年 46 巻 6 号 p. 259-271

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抄録

学生の作成した実施献立記録を用い, 1年間の食事別栄養素, 食品類の摂取状況を調査し, 次の結論を得た。なお, 本調査対象の寮生30名中, 7名が運動部員であった。
1) 各々の生活時間調査より栄養所要量を求めた。栄養素摂取量の年間値は, エネルギー・たん白質・ビタミンB1 (VB1)・ビタミンB2 (VB2)・ビタミンC (VC) が所要量を越え, カルシウム (Ca) は辛うじて充足, 鉄 (Fe) はやや不足であった。季節比較では夏季・冬季間で, たん白質・リン (P) ・Feに有意差が認められた。
2) 各栄養素の食事別摂取比率で最高値を示したのは, 朝食の脂肪・Ca・VB2, 夕食のエネルギー・たん白質・脂肪・糖質・粗繊維・P・Fe・ナトリウム (Na)・カリウム (K)・VA・VB1・VCであった。昼食は最高値のものがなく, 夕食に次ぐものが多かった。間食はVCを除けばほぼ10%以下で低かった。
3) 摂取エネルギー, 各栄養素間でγ>0.7の高い相関を示したのは各食事に共通して, エネルギーとたん白質・脂肪・糖質間, 粗繊維とK間, たん白質とP・VB2間, PとFe間などであった。朝食・夕食・間食においてもいくつかの栄養素間に高い相関が見出された。
4) 食品摂取量の1人1日当たりの年平均値は, 国民栄養調査による同年国民1人1日平均値に比し, 油脂類・卵類・乳類が高く, 豆類・果実類・野菜類・魚介類が低かった。食品摂取量の季節比較では, 春季のいも類・野菜類・卵類, 夏季の魚介類が低く, 冬季の砂糖類・野菜類・卵類が高値となった。食事別季節間比較では, 朝食の砂糖類・卵類, 昼食の油脂類・卵類・野菜類, 夕食の穀類・いも類・卵類・野菜類, 間食の菓子類に有意差がみられた。
5) 食品摂取量の食事別配分比率は, 朝食では砂糖類・油脂類・乳類・嗜好飲料, 昼食では穀類・卵類, 夕食ではいも類・豆類・魚介類, 間食では菓子類・果実類が最も高かった。
6) 摂取食品間にγ>0.2の有意水準で相関を示したのは, 砂糖類と肉類・乳類・嗜好飲料間, 肉類と野菜類・調味料間などであった。食事別ではγ>0.4の有意水準で, 朝食の砂糖類と乳類間, 油脂類と野菜類・果実類間, 豆類と乳類・嗜好飲料間, 乳類と嗜好飲料間に, 昼食の魚介類と肉類間に, 夕食の砂糖類と嗜好飲料・果実類・魚介類・肉類間, 乳類と果実類間, 果実類と嗜好飲料間などに正または負の相関がみられた。

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