栄養学雑誌
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九州における中高年者の牛乳飲用習慣の実態と性別及び業態別格差の検討
大里 進子永山 育子高良 治江和田 幸枝若原 延子
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1991 年 49 巻 6 号 p. 315-324

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抄録

九州における常用勤労者 (40~50歳代夫婦212組), 及び農業従事者 (40~60歳代夫婦196組) の中高年夫婦を対象に, 牛乳飲用習慣の有無と栄養素等摂取状態, 食品摂取パターンの関連について検討を行い, 次の結果を得た。
1) 牛乳飲用習慣を摂取頻度でみた結果, 常用勤労者の夫は, 飲用習慣のある者35.4%, ない者 (週2日以下) 34.0%, 妻は, ある者27.8%, ない者39.2%であった。農業従事者の夫は, 飲用習慣のある者29.7%, ない者29.7%, 妻は, ある者27.0%, ない者31.3%であった。
また3日間の食事調査より得られた1日当たりの牛乳摂取量は, 常用勤労者では夫72g, 妻66g, 農業従事者では夫46g, 妻48gであった。
2) 栄養摂取状態では, 飲用習慣のある者はない者に比べ, カルシウム摂取量及び充足率, 動物性脂肪摂取量, 脂肪エネルギー比は高値を示し, 糖質エネルギー比は低値を示した。
3) カルシウム摂取源としての食品の貢献度を重回帰分析により検討した結果, 常用勤労者では牛乳は飲用習慣の程度にかかわらずカルシウム摂取に寄与しているが, 農業従事者では習慣のある者のみに牛乳のカルシウム摂取への寄与が認められた。牛乳以外のカルシウム源食品群は, 豆類, 藻類, 緑黄色野菜, 淡色野菜などで, その寄与度は牛乳飲用習慣の有無によって差があった。
4) 食品摂取パターンでは, 両業態ともに夫は牛乳飲用習慣が食事の簡便化に結び付きやすいこと, 妻は食事の洋風化に結び付きやすいことが指摘された。

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