栄養学雑誌
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肥満判別のためのBMI再評価の試み
小宮 秀一村岡 康博今井 克己増田 隆
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1992 年 50 巻 4 号 p. 219-226

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抄録

本研究は, 健康な22歳から91歳までの446人 (男性187人, 女性259人) を被験者として, BMI (Body mass index) と体脂肪率を比較し, 肥満判別のためのBMIを再評価している。また, BMIとWHR (Waist-hip rado) を組み合わせた新しい肥満判別基準を検討している。BMI, 体脂肪率, WHRの各判定法間には, それぞれ有意な相関はあったが, 肥満の判別能力には多少の違いが認められた。しかし, 体脂肪率で肥満と判定された者の約76%はBMIでも肥満と判定され, BMIと体脂肪率は肥満者のスクリーニングにおいて, ほぼ同等の判定機能をもち得ることが明らかになった。肥満に合併しやすい高脂血症, 耐糖能の低下等の代謝異常, 高血圧は, 体脂肪の分布が関係するといわれている。そこで, BMI, 体脂肪率, WHRと, 血圧や血中のコレステロール, 中性脂肪, グルコース濃度との関係を検討した。その結果, WHRがそれらと最も高い相関を示し, 男性のWHRが0.941, 女性のWHRが0.904以上になると, 高血圧や高脂血症の傾向にあることが明らかになった。以上の結果から, 測定誤差の小さいBMIに体脂肪分布を考慮したWHRを組み合わせた, 男性BMI≧24.5+WHR≧0.941と, 女性BMI≧23.8+WHR≧0.904という新しい判別基準を作成することができた。

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