1995 年 53 巻 4 号 p. 255-262
採卵鶏にn-6源としてのコーン油 (CO) と, n-3源としての魚油 (FO) をそれぞれ投与した場合の, 鶏各組織におけるコレステロール (Chol) 及びn-3とn-6多価不飽和脂肪酸 (PUFA) 濃度への影響を中心に比較検討した。
卵黄及び鶏の各組織における Chol と総脂質濃度は, CO群とFO群間に有意差を認めなかった。n-6系は, 必ずしも飼料油脂の性質を反映せず, 卵黄と肝臓ではFO群に比べCO群で有意に多かったが, その他の組織では逆にCO群の濃度がFO群のそれに比べて有意に低いか, 低い傾向を示した。n-3 PUFA濃度は, 各組織で飼料油脂の性質を反映し, むね肉のC20:5を除きどの組織でもFO群でCO群に比べて有意に増加した。C22:6濃度は両群とも卵黄で最も高かったが, FO群ではCO群に比べて有意に高値を示した。FO群における各組織のC20:4/C18:2比の低下は, C18:2からC20:4への代謝転換がn-3 PUFAにより阻害されることを示している。FO群の卵黄及び各組織のn-3/n-6比は, CO群に比べて有意な増加が認められた。これは, n-3/n-6比の高い卵黄と鶏の組織が有意なn-3 PUFA源となりうることを示唆するものである。