栄養学雑誌
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漬け物中の硝酸, 亜硝酸とソルビン酸の関連について
林 俊郎尾上 とし子
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1996 年 54 巻 6 号 p. 353-359

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抄録

漬け物の材料の中には著量の硝酸を含んだ野菜が用いられており, 硝酸は漬け込み過程で微生物作用を受けて亜硝酸に変化することが知られている。また, 漬け物の多くには保存料としてソルビン酸の添加が認められているが, ソルビン酸は亜硝酸と反応して変異原性物質を生じることが知られている。そこで市販の漬け物について, 硝酸, 亜硝酸ソルビン酸の一括分析を, HPLCを用いて行った。HPLC分析条件は, カラムIC-Pak anion column, 移動層5mM-HK2PO4, 流量0.8ml/分, 温度40℃, 検出波長215nmである。
市販潰け物36点中13点よりソルビン酸が検出された。ソルビン酸が添加された漬け物の亜硝酸含有量は, 無添加漬け物に比べ低い傾向がみられ, ソルビン酸が亜硝酸生成を抑制していることが推察された。ソルビン酸が添加されている漬け物の亜硝酸濃度は極めて低いことから, ソルビン酸と亜硝酸の反応による変異原性物質生成の可能性は極めて低いように思われた。

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