栄養学雑誌
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家庭での腸管出血性大腸菌O157感染予防対策の継続性について (第2報)
食事への配慮
尾立 純子難波 敦子浅野 真智子瓦家 千代子島田 豊治深蔵 紀子安田 直子山本 悦子
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1998 年 56 巻 4 号 p. 227-234

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抄録

第1報と同様に, O157による食中毒についてのアンケート調査を実施し, 食事に関して調理担当者が, どのように配慮しているか, 末子の年齢別に区分して考察した。
1) 発生時, 料理方法はどの年齢も「すべて火を通した」率が高かったが, 現在になると危険意識も薄れ, 発生前と変わらない料理方法に戻っていた。
2) 家庭で避けた食品が, 発生時「有る」とした率は, 就学前が高く, 末子の年齢が高くなるにつれ低くなることが分かった。現在になると, 避けている食品も少なくなっていた。避けた食品の上位3種は, 貝割れ菜, 牛肉, レタスの順であった。感染者グループでも, 発生時避けた食品が「有る」とした率が100%であったが, 現在になると26.5%に低下した。
3) 家庭で避けた料理も食品と同様, 発生時に避けた率は就学前が高いが, 現在になると拒否率も低下している。避けた料理は, 生ものである刺身, 牛肉たたきで, どの年代でも高い拒否率であった。感染者グループでは, 現在になってもまだ, 牛肉たたきや, ユッケは拒否している傾向がみられた。これは外食でも同様な結果であった。
4) 調理済み食品については, その性質上使用に関しては, あまり予防はしていないと考えられた。
以上, 食品の選択においても, 第1報と同様, 6か月の時間的経過が安心感につながり, 調理担当者の注意力が低下した。O157を始め, 食中毒は1年を通じて起きていることから, 冬場であるからと安心せず, 予防には注意を払うべきである。

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