栄養学雑誌
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二重標識水法によるエネルギー消費量測定の原理とその応用
生活習慣病対策からトップスポーツ選手の栄養処方まで
齊藤 愼一海老根 直之島田 美恵子吉武 裕田中 宏暁
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1999 年 57 巻 6 号 p. 317-332

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抄録

エネルギー所要量は栄養所要量の基礎とされている。幼児期から高齢期まで生涯にわたり健康で活力のある生活を送るには, どれだけ食べればよいかを考えることに加えて適切な運動を生活に取り入れることが重要である。一方, 激しいトレーニングを行うスポーツ選手では, 不適切なエネルギー摂取は競技成績の低下につながりやすい。このような点から, 我が国に限らず世界各国で1日のエネルギー消費量の適正な測定法に関心が集まっている。
二重標識水 (Doubly Labeled Water; DLW) 法は, エネルギー消費量測定法の比較的新しい方法であり, 実験室内でも実験室外でも幅広く使用できる。日常生活状態のエネルギー消費量を測定できるゴールドスタンダードであり, 得られた値はより実際に近い状況でのエネルギー消費量の基準となると考えられている。しかし, 使用する安定同位体の酸素-18 (18O) の価格及び分析機器が高額なので, 多数の被験者を用いる実験や疫学的調査あるいは教育プログラムへの応用には制限がある。ここでは, この原理と実際の測定について解説し, 加えて健康づくりの運動やスポーツへの応用についても述べた。

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