2018 年 13 巻 1 号 p. 11-23
本研究は,居住者の社会経済的な属性に基づいて近隣地区を類型化したジオデモグラフィクスデータを用いて,社会地区類型による手口別の窃盗犯発生パターンの特徴を明らかにするものである.東京都市圏の12都市を対象とした分析の結果,社会地区類型による空き巣・ひったくり・車上狙いの窃盗犯の発生パターンの違いを明らかにした.またこの社会地区類型は,地区の建造環境や都市間の差を統制しても犯罪発生に対して一定の説明力をもっており,特に空き巣において顕著であった.これらの知見は手口に応じた防犯施策の重点地区の特定など,近隣防犯活動へのジオデモグラフィクスの活用可能性を示すものといえる.