2018 年 13 巻 1 号 p. 140-155
将来予測されている南海トラフ地震が発生した場合における危機管理対応を的確に実施するために,本研究は高知市周辺を対象として,近年の観測技術の向上に伴い蓄積されている観測ビッグデータを用いて被害予測に適用可能なミクロデータを整備することで高精細な被害推定を目指す.そのためにGPS付帯の携帯電話のプローブデータ,住宅地図,電話帳などのジオビッグデータを用いて時空間内挿することで,季節ごとの数日間ずつを対象に15分単位の詳細な人の流動が把握できる人流データを開発した.また,整備した人流データを用いて津波・倒壊・火災による人的被害を統合的に推定する環境を構築した.さらに,多様な被害推定結果を分析することで地域ごとの被害尤度分布を明らかにし,地域ごとに起こり得る最大被害・最尤被害を明らかにした.その結果,地域により被害が大きくなりやすい地域とそうでない地域の分布が明らかになった.