抄録
半導体産業には,約2ヶ月という長い工期と約6ヶ月という短い製品ライフサイクル,常に更新され安定しない生産プロセスなどの困難な問題が多く存在する.半導体製造工程は,数百の工程からなり,また,1つの製品が何回も同じ装置で加工が行われる,リエントラントフローショップと呼ばれる複雑な製造工程である.なかでも,イオン注入工程は多種の加工を行っており,異なった種類の加工を行うためには長時間の段取り替えが必要であり,さらにメンテナンスや予期せぬ故障のための装置停止が多く,生産ラインにおけるボトルネックとなっている.本研究では,半導体加工におけるネック工程であるイオン注入工程の効率化を図るため,製品の流れをモデル化し,シミュレーションを行う.第一段階として,作成したシミュレーションモデルでの製品の流れを述べ,故障が発生しないと仮定した下でシミュレーションを行い,結果を考察する.