2020 年 15 巻 1 号 p. 1-13
本研究では,夏季の高温が顕著である熊谷市を対象とし,熱ストレスにより保健室に来室した児童生徒の割合の地域性を明らかにした.さらに,在校時(8~18時)の最高気温・湿度と来室者割合との関係を明らかにすることを試みた.来室者割合と各地点の全地点平均からの湿度差との相関係数はr=0.43で有意であったが,気温差との相関係数はr=-0.06で有意でなかった.来室者割合が大きい地点は,市北東部~南西部に認められた.これらの地点では全地点平均より平均的に湿度が高く,気温差は小さい地点が多い.市北東部~南西部の土地利用が水田であることから,児童生徒の熱ストレスによる身体的不調には,学区の土地利用に関係した湿度の影響が大きい可能性がある.児童生徒の熱中症やそれに至る熱ストレスによる身体的不調を予防するためには,学区スケールの暑熱環境の把握が重要であると考えられる.