2024 年 19 巻 1 号 p. 132-144
国土地理院が日本全国の時系列干渉SAR画像(TS-InSAR画像)を公開したことにより,活動性地すべり地形(ALs)の所在の把握が期待されている.本稿では,TS-InSAR画像に基づき作成した「北海道の活動性地すべり地形データマップ(HoLsDM v1.2)」の概要とそのALs検出精度について述べる.HoLsDM v1.2により,道内に少なくとも345カ所のALsが存在し,その分布は地域性を持つことが示された.一方,HoLsDM v1.2では面積が2.43 ha未満のALs,地すべりの変動方向とALOS-2の衛星視線方向とのなす角が大きいALs,地すべり地内の変動量の差が11.8 cm以上のALsを検出できていない可能性が示された.しかし,これらの特性を理解して活用すれば,HoLsDM v1.2は地すべり災害リスクの評価や地すべりが発生する地形・地質条件の理解促進に有効だと考えられる.