2021 年 72 巻 Supplement 号 p. 243-252
悪性リンパ腫の確定診断は採取したリンパ組織の病理組織学的検索によりなされるが,免疫染色を始めとした標本作製には時間を要する.捺印細胞診は,生のリンパ節をスタンプし,染色後直ちに鏡検可能であり,短時間でリンパ組織を構成する個々の細胞形態を観察することが可能である.細胞診断が良・悪性の判断を左右する最初の診断につながることから,リンパ組織の生検時には捺印細胞診標本の作製が推奨される.本稿では悪性リンパ腫の概論について述べ,リンパ節の正常構造を示しながら,反応性リンパ節症と鑑別を要する悪性リンパ腫の細胞形態学的特徴を解説する.