抄録
わが国の地理教育の現状を小学校,中学校,高等学校といった学校種からみると,以下のように整理できる.小学校では,身近な地域が主として学習され,地球儀や地図の学習も重視されているが,世界地理の位置付けが十分でない.中学校では,日本と世界の地理学習が主となっている.他方でスキルの習得も目指されるが,どのようなプロセスでスキルを習得させるのかが示されていない.高等学校では,必修である世界史を履修する生徒の約半数が地理を履修するにすぎない.学習活動としては,知識の獲得だけでなく,課題を見出していこうとする探究活動も含もうと試みられている.このような現状を踏まえて,小学校から高等学校までの学習内容の配置,スキルの段階的習得の提示,教員の研修などが課題としてみえてくる.