抄録
電子部品のさらなる高密度・高多層化が予想される今日、配線遅延の低減、電気信号の高速伝送などの要求を満足するためにICの層間絶縁膜に有機膜を採用する方法が有力視されている。ポリイミド樹脂は優れた物理的・化学的性質を有しており,LSIの層間絶縁材料としても注目されている。我々は,ポリイミド樹脂の表面改質(KOH処理によるイミド環の開裂に伴うカルボキシル基の形成)、イオン交換反応による銅(II)イオンの交換吸着、および吸着銅(II)イオンの水素還元処理のプロセスにより樹脂表層部にナノサイズの銅微粒子を形成させ、無電解めっきによる銅薄膜形成過程を経て高密着強度を有する銅薄膜を樹脂上に形成することに成功した。 本研究では、銅ナノ粒子分散ポリイミド薄膜の微細構造(改質層厚み・銅微粒子サイズ)に及ぼす樹脂の表面改質条件(濃度・温度・時間)の影響および銅めっき皮膜との密着機構について検討した結果を報告する。