学会誌JSPEN
Online ISSN : 2434-4966
症例報告
上咽頭がん治療後の晩期嚥下障害による栄養障害に対して胃瘻を用いた栄養管理が有用であった1例
三松 謙司吹野 信忠西山 耕一郎福田 奈保子橋本 万里絵鈴木 沙央里阪口 美穂絹川 雅夫佐竹 陽仁斎野 容子
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2019 年 1 巻 3 号 p. 181-186

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抄録

上咽頭がんの晩期嚥下障害は稀だが,栄養障害とQuality of Life(以下,QOLと略)低下の要因となる.今回,胃瘻栄養により栄養状態とQOLが改善した症例を経験した.症例は73歳男性.40歳時に上咽頭がんに対して化学放射線療法が施行されたが,再発したため救済手術,化学療法,放射線療法が施行された.当院受診1年前から嚥下障害が悪化し,誤嚥性肺炎を繰り返していた.ミキサー食を1日1回8時間以上かけて摂取していたが,栄養障害が進行した.このため,経皮内視鏡的胃瘻造設術を施行し胃瘻栄養を行った.流動食などの経口摂取と併用して,半固形状流動食1,200kcal/日を胃瘻から投与した.退院8カ月後には,体重と血清アルブミン値は増加し,栄養障害は改善した.また,食事時間が短縮したためにQOLは向上し,誤嚥性肺炎の再発もなくなった.上咽頭がん治療後の晩期嚥下障害による栄養障害に対して胃瘻栄養が有用であった.

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© 2019 一般社団法人日本臨床栄養代謝学会
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